こんにちは。
インテリアショップコンフォートスタイルの山崎です。

第一回目の職人はこちら!

田嶋文弘 工場長
職人歴:44年

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「この仕事を始めてから、もう40年経っちゃったよ」と、今年56歳になる田嶋さんは笑う。
少し照れくさそうに見せた優しい笑顔が、『工場長にインタビュー…』という緊張感を一気にほぐしてくれた。

大分県出身の田嶋さんは職業訓練校の木工科を出た後、見知らぬ土地、大川市へやって来た。
生松工芸とは別の大手会社に就職が決まり、初めて親元を離れる不安でいっぱいになりながらも、
「実家が貧しくてね。早く家を出て働いて一人前になりたいと思っていたから、
不安と同時にホッとした気持ちもあったよ」と、当時を振り返る。

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「駅まで当時の社長が迎えに来ていたんだけど、顔が怖くってね。逃げたの」。
初めて大川の地に到着した時は、まだ幼さが残っていた16歳。
「今思えば、あっという間の40年間だったよね」と語る田嶋さん。
今では生松工芸の工場長として、材料発注から工程管理、塗装や組立、修理などの現場作業をすべてこなし、
工場全体がスムーズに動くよう目を光らせている。

昔は、ひとつの家具を1人で最後まで作り上げるスタイルだったが、
現在はそれぞれの職人が作業を分担して生産する流れ作業が主流だ。
田嶋さんはその変わり目の時代に職人人生をスタートさせた。

「当時はね、トラックが家具の完成を待つほどだったんですよ。
夜遅くなっても、完成したら積んで持っていく。
夜中まで働いたし、正月前は特に忙しかった。
休日なんかほとんどなかったですね」。

最初は板を割る工程から教わり、
加工、塗装などコツコツと技術を磨きながら、
とにかく夢中で働いたという田嶋さん。
そして今から30年前、この工場の職人となった。

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「とにかくきれいに仕上げること」。
田嶋さんの信念は、いたってシンプルだ。
そして職人歴40年のベテランでありながら、
「まだまだ思うようにいかないところもあります」と謙遜する。
決して驕ることなく、地道に仕事に取り組んできた田嶋さんのスタイルが、その一言に凝縮されている。
家具は流れ作業を通じ、さまざまな人の手を通って完成していく。
だからこそ関わる人みんなにも同じ思いをもって仕事に取り組んでもらうよう、田嶋さんは心を砕く。
誰かが途中で手を抜こうものなら、完成した家具のどこかに現れてしまうからだ。
工場長になって12年、その思いは少しも揺るがない。

昨年、家を新築した田嶋さんは、自宅用に自社の家具をいくつか購入。
自ら使うことによって、改善すべき点がさらに見えてきたと言う。
「コンセントや壁の幅木が邪魔で、家具を壁にぴったりつけられない。
だからぶつかる部分だけ切り取るとか。
以前から、別注でそうした加工をしてきました。
ただ自分でも使うようになると、『もっとこうしたらいい』『ここを改善したい』と気づくんですね。

家の造りというものは、置く家具に合わせているわけじゃないですし。
ですから別注のご要望には、今まで以上に快く応じていきたいと感じています」。

美しく仕上げるこだわりに加え、お客さんとダイレクトにつながり、
それぞれのニーズにきめ細かく応えるという点が、生松工芸の強みであると考えている。

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仕事風景の撮影に、工場へお邪魔した。
今日の田嶋さんの担当は塗装だ。

パネル1枚1枚にハケでオイルを塗り、
ウエスで手早くふきあげる作業。
1枚あたりわずか数十秒。
「早く作業しないと、ムラができちゃうからね」と田嶋さん。

目にも止まらない作業の様子を撮影することしばし、
若手の職人が工場長に声をかけてきた。

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しばらく真剣な顔をして話した後、田嶋さんは足早に奥の事務所へ。
ホワイトボードに向かって、慎重に数字を書き換える。
「別注の依頼が来ましてね…」と言いかけて、再び目線は数字に集中。
手元の依頼書とホワイトボードの数字を何度も確認しながら、書き込みをする。
事務所の空気がピリッと引き締まる。
「お客さんのご要望は、快く応えたい」と語っていた田嶋さん。
黙々と作業をする田嶋さんを見ていると、その言葉に嘘を感じるスキはない。

こんな毎日の積み重ねが、確かな品質を支えている。